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避難所入所届への応用・多用途安否確認システム | AmpiTa Project


 災害が発生すると避難所が開設され、身の安全のために避難することになる場合があります。

 避難所は予約してチェックインするものではありませんが、入所時には入所届を提出し、滞在者を記録します。


 避難所で登録する入所届や登録票などは、各自治体によって様式が定められているため、全国一律ではありません。

 下図は広島県福山市の様式です。丁寧にフリガナが振られています。
 福山市は人口46万人、外国人が1万人ほど居るのでおそらくひらがな表記を加えていると思います。外国人の3分の1がベトナム出身、6分の1がフィリピン出身と中国出身、これでおよそ3分の2を占めることになります。アメリカ出身は50人程なので英語よりも多様な言語を第一言語としている人が多いことがうかがい知れます。

福山市
福山市 様式02 避難者登録票
(クリックで拡大表示)

【参考】福山市避難所運営(長期間)マニュアルについて
【参考】福山市:福山市の統計
【参考】福山市:外国人相談窓口(がいこくじん そうだん まどぐち)に ついて


 福山市の例で言うと、下記の項目をチェックしています。

  1. 避難者・帰宅困難者種別
  2. 避難所名
  3. 居住組名
  4. 世帯番号
  5. 入所日(年月日・曜日)
  6. 退所日(年月日)
  7. 郵便番号
  8. 住所
  9. 電話
  10. 携帯電話
  11. その他の連絡先(郵便番号)
  12. その他の連絡先(住所)
  13. その他の連絡先(氏名)
  14. その他の連絡先(電話番号)
  15. 自治会町内会名
  16. 自宅の被害状況(全壊・半壊・一部損壊・全焼・半焼・床上浸水・その他自由記載)
  17. 滞在を希望する場所(避難所・テント・車両・避難所以外)
  18. 世帯主(ふりがな)
  19. 世帯主(氏名)
  20. 世帯主(生年月日)
  21. 世帯主(年齢)
  22. 世帯主(性別)
  23. 世帯主(国籍)
  24. 世帯主(けが・病気・障害・アレルギー・食事・要介護・言語・妊娠中・その他自由記載)
  25. 世帯主(詳細)
  26. 世帯主(新・乳・未・成・高)
  27. 家族(ふりがな)
  28. 家族(氏名)
  29. 家族(生年月日)
  30. 家族(年齢)
  31. 家族(性別)
  32. 家族(国籍)
  33. 家族(けが・病気・障害・アレルギー・食事・要介護・言語・妊娠中・その他自由記載)
  34. 家族(詳細)
  35. 家族(新・乳・未・成・高)
  36. 安否確認への対応(公開・非公開)
  37. 一緒に避難してきたペット・補助犬(有・無)
  38. 一緒に避難してきたペット・補助犬(種類・頭数)
  39. 避難所に駐車中の自家用車(車種・色)
  40. 避難所に駐車中の自家用車(ナンバー)

 筆者の所感は『面倒くさい』でした。

 届出る側は1枚だけなので我慢できそうですが、それでも命からがら逃げて来て、入口でこれを書くのはまぁまぁ面倒だと思います。

 管理側は、これを一通り見て、おそらくパソコンで一覧表にまとめるという作業が発生するのだと思いますが、たくさんの避難所業務と並行しなければならず、個人情報が含まれるので手分けすることもできないとなると、かなり面倒な作業です。




面倒を解決

 福山市の例を見ても40種類以上の項目があり、省略していますが家族欄は4枠ある、障害やアレルギーの欄は各項目で細分化されるので、仮に1項目1セルでエクセルシートを作ると100セル程になります。

 手書きは面倒だが、Excelにまとめるのも面倒だと思います。

 下図は福山市の様式3と様式5ですが、このように一覧表にまとめるようマニュアル化されています。
 従順な市職員は様式どおりに報告しようと努力されるだろうと思います。

福山市 様式03 避難者一覧
(クリックで拡大表示)
福山市 様式05 避難者の状況
(クリックで拡大表示)

 AmpiTa Projectは市職員ではないので自身が面倒な作業をする訳ではありませんが、地域住民でもない市職員がわざわざ災害時に避難所に出向いてくださり、仕事をしてくださるので、少しでも助けになればと思い、AmpiTaの避難所入所届への応用を検討しました。




AmpiTaの避難所応用

 AmpiTaを避難所の入所届用に使えないか試してみました。

 結論から言えば『使えなくはない』ということがわかりました。

 実際の登録画面はこちらからご確認頂けます。

【参考】AmpiTa:事例集(避難所)


 福山市の例のとおり、入所届で収集しようとしている情報量が多いため、安否確認のような迅速・端的な情報収集のツールとは相反する要件となります。

 AmpiTaは上限8項目としているため、廉価で提供できている部分もあるため、この制約の中でより多くの項目を詰められるように工夫しました。

  1. 氏名・よみがな
  2. 避難先
  3. 住所・自治会
  4. 年齢・性別
  5. 住居・家屋
  6. 帯同・持込
  7. 身体・身辺
  8. 伝えておきたいこと・協力できること

 上記の項目では『足りない』と言われそうでもありますが、取り急ぎ必要そうなことはまとめられるのではないかと思います。

 このデータを何に使うのか、という目的をしっかりと考え直せば8項目でも対応できるかもしれません。




○○避難所専用

 入力を一意的にしたい場合、例えば避難所名は間違いなく入力してもらいたい場合には自動入力機能を備えることができます。

https://www.ampita.jp/html/smp/shelter_comunity2

 避難所の入口にQRコードを用意しておき、それを走査すると当該避難所の名称が自動入力されるといった仕掛けは比較的簡単に用意することができます。

 下図をクリックすると、避難所名と自治会名が自動入力されます。
 避難所入口に自治会毎のQRコードを用意しておいて振り分けるといったことを想定していますが、自治会に所属していない人も居るので、避難所で自治会名を収集するのは時代と合っていないかもしれません。




実際の入力は1分程度

 今回試作した避難所入所届のウェブフォームは、1分程度で入力することができます。

【参照】YouTube 指定避難所 入所届 登録一連




1分程度が限界か!?

 スマホから登録してもらう場合、1分程度で完了すると言われれば協力して貰えそうですが、3分となるとややハードルが上がりそう、5分となると『手書きする』と言われてしまいそうです。

 届出る側の都合で言えば5分は手間かもしれませんが、管理する側としては電子化されていた方が何かとラクです。

 5分は長い、3分がギリギリとすれば、3分以内には終わるであろう方法を考えなければなりません。

 おそらく、ラジオボタンやチェックボックスを使って、入力を省力化することが重要かなと思います。




全壊や全焼は書きたくない

 避難所の入所届に自宅の『全壊』や『全焼』と書く欄が散見されますが、家主としては『何で避難所で書かなければ?』という疑問を持つのではないかと思います。

 おそらく、全壊や全焼になってから数時間以内、その家から離れて数十分程でこの入所届を書かされ、改めて自宅を失ったことを確認させられる心情は複雑かなと思います。

 今回の試作では『住めない程の損傷や焼損』『不安を覚える程の損傷や焼損』という表現を用いましたが、このあたりも工夫していく必要があると思います。




避難所入所届の新規開発

 安否確認システムを避難所入所届に使うためには、安否確認システムに合わせて設問を調整する必要があります。これを甘受すれば比較的安価に電子化することができます。

 一方で、従来からある入所届をそのまま電子化しようと思えば、専用システムを開発する必要があります。

 AmpiTa Projectでは、安否確認システム(AmpiTa)と並行して避難所入所届管理システムの開発を検討して参ります。







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